- 2014-9-22
- システムエンジニア
まず人月とはどういう意味なのか、どんな風に使われてるかお伝えしたいと思います。
人月というのはIT業界で仕事の量や見積もり金額を出す際に使われる単位のことなんです。
例えば
・この仕事は20人月あれば終わるな
・うちは1人月100万円で仕事を請け負ってます
といった使い方をします。
つまり1人の人材が1ヶ月働く際の単位のことです。
「この仕事は約20人月で終わるだろう、1人月100万円で計算すると、この仕事は2000万円必要です」とかね。
この時、どんな人が仕事に当たるのか、能力差などはあまり考えられていません。大抵の場合、「自分だったらこれぐらい」で算出します。
かといって1人で20ヶ月仕事をして終わらせるわけではなく、お客さんから「3ヶ月で終わらせてくれ」などと言われますので7人が3ヶ月取り組んで終わる仕事、というふうに捉えます。(6人が3ヶ月取り組むのでは納期に間に合わないしね)
これが「人月」の考え方と使い方です。
受託開発における人月商売
IT業界では「受託開発」という事業形態が主流となっています(全体の7割がこの仕事の形態だと言われています)
受託開発というのは、お客さんからソフトウェアやシステム開発の依頼を受けて仕事をするものの事を言います。自社でソフトやアプリやWEBサービスを提供するものとは異なる事業のかたち、という感じですね。
■例1)
「△△システムを開発して10ヶ月後にリリースしたい」という話がお客さんから来たりします。
この△△システムを開発するには50人月必要だ。10ヶ月後にリリースということは1ヶ月に5人投入して10ヶ月でつくろう。
「弊社の人材で開発した場合は50人月かかります、1人月100万円なので、トータル5000万円で作れますよ」
といった話でお客さんと交渉したりする。
良いか悪いかは別として、この人月換算で見積もりを出す、お客さん側もそれで納得する、というのがIT業界の習慣のようなものになっています。
システム開発は自社内で行い、作ったあとはお客さんに納品する、という流れになります。
これはシステム開発業務委託契約という契約です。
ちなみに大抵の場合、50人月必要だと思ったら、あらゆるリスクを想定して75人月~100人月でお客さんに提示、お金を頂いておきます。←w
■例2)
「△△システムを開発したいんだが人材不足でね、おたくの会社から何名かうちに来て開発のお手伝いをしてくれないか」
といった話もあります。これは言い方悪いですけど「人貸し」のイメージです。例1のようにシステム開発をまるっと請け負って自社内で開発・納品するものと異なり、こういうのをSES契約といいます。この契約はシステムの完成、納品までは求められません。お手伝いの作業量に対して対価が支払われます。
お客さんの社内に、言ってみれば派遣されて行きます。お客さんの社内に人材が行くので何人働いてるのかはお客さんにバレバレです。
見積もりを出すときに「その仕事なら3人働けば大丈夫でしょう、毎月3人月分のお金くださいね」となる。
※あらかじめ書いておきますが、派遣契約とは異なりますので注意
人月商売のメリット・デメリット
僕がSEをやっていたころは人月商売は当たり前と思っていたので疑問に感じる事はほとんどなかったし、お客さんも納得してくれる見積書を提出できる手段だったのでこれでいいと思っていました。
最近はこの人月商売に対して疑問をなげかけるコメントもあちこちで見かけます。時代は変わったんだろうか・・・などと思っていたりしますw
さて、人月商売のメリット・デメリットを見ていくと次のようになります。
■メリット
→ 先程も書いたとおり納得してもらいやすい見積書を出せる。(そういう文化が根付いているので)
→ システム開発業務委託契約のときは、説得力があればほぼ言い値で契約できるので、大きく利益を上げられる(相見積もりされてたらヤバイけどw)
→ 見積もり時に50人月で出していても、実際は50人月かからなくても、それ以上にかかってもよい
■デメリット
→ システム開発業務委託契約のときは見積りよりも実際の作業量が膨らんでしまったらヤバイ。お客さんにお金のおかわりは出来ない。
→ SES契約の場合、どんなにいい仕事をしても、どんなにいいシステムを作っても、作業量に対しての対価でしかない。(時間の切り売りってこと)優秀な人材が人月で自分の時間を切り売りしちゃうとこれは勿体無いということになっちゃう。
→ SES契約の場合、エンジニアにとって会社がいくらピンはねしてるか分かる
と、こんな感じかな。
おお!人月商売わりとええやん!
お客さんが納得しないときも勿論ある
お客さん側はこの人月での見積もりの算出の仕方が妥当なのかわからない場合があります。
また、もっと安くソフトウェアを作って欲しいと思ってるかもしれません。そんなときどうするか、「相見積もり」を取ることになります。
つまり、A社とB社とC社をよんで、「おたくだったらいくらで作れるの?」とやる。
そうすると、A社5000万円です、B社4800万円です、C社4000万円です(><) よし、じゃぁC社にしよう! みたいな事もあります。(´;ω;`)
まとめ
IT業界の人月商売とは、作るシステムやソフトウェアの価値に対して価格がいくら、では無いってことですよね。会社が出す人材に対してお金がかかる、そっちのほうがお客さんも納得してもらいやすい(という風土がある)
という事です。
このシステムを作るとお客さんの利益が200%アップするから5000万円でも安いもんでしょ、というお金の取り方じゃないってことね。
あくまで50人月かかるから5000万円ちょうだいね、という商売のやり方です。
